君の子守唄
「いらっしゃい!」

明るい咲がドアを開けると

一瞬目を見開いて、俺の後ろに隠れた。

思うところもありそうだが、そこは幼稚園の先生。

気にしてない顔で

「寧々ちゃん、いらっしゃい。
どうぞ。」と言って、寧々用の小さなスリッパを差し出した。

「寧々ちゃんのスリッパだよ。」

最近咲が気に入っているキャラクターのスリッパに

さっきとは違う目の開きをして

じっと眺めている。

自分の為の、可愛いスリッパが嬉しいようだ。

「良かったな。
上がるぞ。」

俺に促され、頷いた後すんなりスリッパを履いて着いてきた。

ニッコリと嬉しそうな咲。

初めてのよそのお家のお出掛けを

ここにして、大成功だ。

寧々の気持ちが分かる咲に逢わせ、一つ成長させたいのが

俺と洋介の希望なのだ。

「ケーキを買ってきた。
後で出して。」

咲に差し出すと

「彰兄もケーキにしたの?
男って、考えること一緒だよね。
もうちょっと、捻ってくれると良いのにぃ~」と

ブツブツ呟いている。

もしかして、兄貴と被った??

首を捻りながらリビングに行くと

そこには

ソファーに座る兄貴と。

その隣に……………
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