君の子守唄

愛情と淋しさ

「可愛い。
スヤスヤ寝息をたててる。」

「こんなに大勢で、自分の為に出掛けたことなんて…………
なかったんだろうな。」

「どこを見ても、自分を見つめてるんだもんな。」

「毎日これは無理だけど………
なるべく誰かは、見ててやれるようにしたいな。」

「……………………でも、ホントは………
沢山の他人よりも、母親一人でいいんだろうけどな。」

さっき彩ちゃんに教えられ、自分なりに色々考えた。

そうして出た言葉が…………これだった。

もちろん、みんながみんな………

母親が、沢山の愛情で包んでいるわけではない。

俺もそうだったし、咲だってそうだ。

淋しく悲しい思いをしている子供だって、沢山いるはずだ。

俺達が気にして、愛情を注いでいる今は………

寧々は幸せな方かもしれない。

…………………けど、ホントにそうだろうか?

他の子供よりって思うのは、大人達の勝手な解釈じゃないだろうか?

寧々は今、やっぱり母親の愛情を求めている。

それは紛れもない事実だ。

「ちょっといいか?」

兄貴のマンションに帰り、寧々をベットに寝かしつけた俺達は……

今日はゆっくりするつもりで、アルコールを飲むことにした。

いつもは、寧々になにかあったらと思い

アルコールを止めている洋介を気遣ってだ。

これだけ大人がいれば、大丈夫だろう。
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