君の子守唄
「よぅ。」

「…………………………………。」

「彰人君、いらっしゃい。」

それぞれ違う挨拶だが…………

誰の目も、笑っていない。

「…………………………お邪魔します。」

リビングの一番下手に座り、項垂れる。

「話しは、寧々から聴いた。」

「どう、申し開きをするつもりだ?」

「彰人君、寧々と付き合ってたのねぇ~」

…………………………………。

不味い。

何を言っても、聞き入れそうにない。

このメンバーは、学生の頃からの付き合いだ。

言い訳や説明をじっくり聞くようなメンバーじゃないのは

百も承知だ。

『う~ん。』と唸ったところで

「「「ブッ!!」」」と吹き出す三人。

………………………えっ!?

戸惑う俺を尻目に

ヒイヒイと膝を叩いて笑っている。

「………………??」

キョトンとする俺に

「お前のそんな顔、初めて見た。」

「神妙な顔して来るから、本気で覚悟したのかと思った。」

「寧々にねだられたんでしょ?
彰人君、甘すぎだもん。」

どうやら寧々が言った言葉は、誰も信じてないようだ。

まぁ、当たり前かぁ。

ホッとしたのもつかの間。
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