君の子守唄
「あらぁ~
彰人君、おはよう。
今日は、寧々の事をお願いね。
寧々、彰人君の言うことをちゃんと聞くのよ。」と呑気に出てきた。

「おはようございます。
安全に気をつけて、楽しませて来ます。」

小さい時から知っている寧々だし。

妹のような、姪のような感覚で接していたから

預かる事に、緊張したことはなかったが………。

今回は少し緊張を覚える。

やっぱり、この間の話を聞いたせいだよな。

とは言っても

朝、会ったときから笑顔の寧々を見ると

大変な生い立ちの中

頑張って難関女子高に合格したご褒美に

しっかり甘やかせてやりたくなる。

「彰人君、乗っても良い?」

すっかり自分専用の助手席だと思っている寧々は

座り心地の良いクッションを置いている。

「ここは寧々のだから、他の人を座らせたらダメだよ!」と言われ

何となく約束を守って

寧々以外の女の子は、座ったことがない。

もっぱら野郎のみだ。

今日もさっさと乗り込むと

チョコンと座って、おばさんに手を振っている。

寧々が乗ったのを確認したおばさんは………

「彰人君。
私達は、寧々の幸せが一番だから………
変な遠慮や無駄な理性に捕らわれなくて良いからね!
もちろん、直ぐに孫は困るけど
キスはオッケーよ!!」とふざけたことを言っている。

はぁ~っ。

疲れる会話をさっさと終わらせて

「………………行ってきます。」と挨拶して車を走らせた。
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