君の子守唄
「お母さん、何って言ってた??」

娘の恋愛を、俺に勝手に押し付けていたとも言えず。

「寧々は、腹を出して寝るから
気をつけてくれってお願いされた。」と言ってやった。

「もう!お母さんてば、恥ずかしいなぁ。」

って、否定しないのか?

夜、寝冷えさせないよう心に誓っていると

「彰人君、今日から3日………宜しくお願いします。」と

素直にお願いされた。

やっぱり可愛いよな。

おばさんの言うことは、無茶苦茶だけど。

『寧々の幸せが一番』って言うのが、本音なんだろうな。

何よりも、寧々の笑顔と希望を

優先してやりたいと思うもんな。

「こちらこそ宜しくな。」

車を走らせながら、出逢った頃を思い出す。

初めて会ったときには、ピンクのワンピースを着ていたなぁ

同じ色の籠を持って、頭にはうさぎの髪留めがついていた。

「大きくなったよな。」

呟く俺に

「なぁに?
おじさんみたいだよ。」とクスクス笑う。

「初めて会った頃を思い出してたんだよ。
ピンクのワンピースが可愛いかったなぁってね。
さすがに、ピンクは着なくなったもんな。」

小学四年生になった頃から大人っぽい服を好むようになり。

レースや花のついた物を、着なくなった。

その頃から会うたびに黒い物が増え

『心が不安定じゃないのか?』と心配する男たちを横目に

『寧々、これも可愛くない?!』と

少し肩の出た、セクシーなTシャツを薦めるようになった彩ちゃんと咲。

『女の子の成長は、早いのよ!』と女同士でショッピングに出掛け

俺や兄貴、洋介はデートすら遠のいた。
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