君の子守唄
「それは…………………。」

少し恥じらう寧々は

俺が知っている恋愛とは違い。

大昔に経験したことのある、淡い初恋を思わせた。

周りの大人達が騒いでるだけで…………

恋心と言っても、可愛い憧れのようなものか?

少しガッカリはしたものの。

それなら、麻疹のようなものだから

離れずまた、妹のような存在として接する事が出来る。

……………と密かに期待したのだが。

「…………………あのね。
私…………彰人君のことが…………好きなの。
洋兄やパパと違って……………男の人として。
大好きだけど……………
彰人君から見たら、子供としか見えないし。
恋愛対象なんて、ならないよね。
…………でも、私は…………真剣なの。
いつか、誰かと結婚する彰人君を見ることは辛いし。
妹としてしか、見てもらえないのも辛いから…………。
高校生になる前に、告白して。
フラれて卒業しようと考えてたの。
もう今までみたいに、甘えて側にいないから………
彰人君は安心して、誰かと結婚して良いよ。」

昨日と同じように

涙を堪えて一生懸命気持ちを伝えてくれた。

フッと、昨日の観覧車での言葉を思い出した。

寧々は……

いつだって純真に、真剣に気持ちを伝えていたのに。

俺は、大人の考えを持ち出して

ズルい答えを返し続けていたんだな。

寧々はいつも………

瞳にとどまっている、涙と一緒で。

汚れのないキラキラした気持ちを伝えてくれていたのに………。
< 59 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop