世界で一番美しいプレゼント
「広志くん、そろそろ夕ご飯だし私はもう帰るね」

風香がそう広志に声をかけると、広志は「は?もうちょっと待ってみろよ」と驚く。風香は「もう帰らないと……」と外を見た。もう外はすっかり暗くなっている。

「じゃあまたね」

風香はくるりと広志に背を向けて歩き出す。「お、おい!」と広志が言うがこれ以上遅くなれば心配をかけてしまう。

風香は友子と大にも挨拶をしようとしたが、二人の姿もいつの間にかいなくなっている。仕方なく風香はドアを開けて外に出た。その刹那、人の声が耳に入る。

「えっ!?風香!?」

聞きたくない声が聞こえ、風香はゆっくりと声のする方を向く。そこには、コンビニで買ったお菓子を食べながら友達が立っていた。

「あんたって、こころの家に通っているの?」

驚くような視線を向けられ、風香の心臓はドクンと鼓動を打つ。しかし、これはチャンスなのではないかとも思った。

「う、うん……。実は、小学生の頃から通ってる……」
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