世界で一番美しいプレゼント
言葉を選びながら慎重に風香は重い口を開く。ひどく緊張していて、風香の手は汗で濡れて体はカタカタと小刻みに震えていた。

全てを話し終える頃には、風香は泣き出しそうになるのを懸命に堪えていた。友達は呆然とした顔で風香を見ている。

「……ここって、障害のある人もいるの?」

友達の一人が訊ね、風香は「う、うん。発達障害の人や、身体障害の人、知的障害の人もいるよ」と答える。なぜそんなことを聞くのか、その理由を風香は考えたくなどなかった。

「あんた、精神障害者だったの!?」

「ええ〜、ヤッバ!友達が精神障害者?ウケる!!」

「メンタル弱すぎ!自傷行為とかしてるの?」

軽々とそんなことを言う友達に、風香は受け止めきれない失望や悲しみを覚えた。グルグルと言葉が回り、体はこの場から逃げ出したいのに縛り付けられたかのように動けない。

動け、動け、動けと風香がどれだけ命じても、体は言うことを聞かない。風香が固まっている間にも、好奇な視線と偏見の言葉は風香に突き刺さっていく。
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