世界で一番美しいプレゼント
「本当に強い人なんて、この世に誰一人としていないわ。誰しも悩みすぎてしまうことがあるの。あなた方は、自分の子どもや大切な人が心に深い傷を負ってしまった時、同じことを言うの?あなたたちのしていることは、ただの差別と偏見です」

友子がそう言うと、友達は「だって……」と呟く。「だってじゃないよ!!」と大が言った。

「風香ちゃんも、ここにいるみんなも、君たちが感じたことのない苦痛を過去に感じている!その苦痛に耐えられずに自らの命を絶ってしまう人だっている!俺の妹だってそうだった!だから、こんな風に言われて傷つく人を減らしたいと思ったんだ!!」

友子たちの言葉、そして理子の手の温もりに風香は少しずつ落ち着いていく。苦しいのに、どこか幸せだ。自分の感情がどうなっているのか、風香にはわからない。

やがて呼吸は落ち着いていき、「大丈夫?」と理子が風香に訊ねる。風香はコクリと頷き、友達から離れようと立ち上がって走り去った。
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