世界で一番美しいプレゼント
「広志、そんなこと言わないの!!風香ちゃんは一生懸命人と関わろうとしてるんだから!!人を避けているあんたとは大違いだよ!!」

棘のある広志の言葉に傷つく風香を抱きしめ、理子は広志を睨みつける。その温もりや言葉に、風香は理子のことがますます好きになっていく。

初めてこころの家に来た時、風香は何をしたらいいかわからず、ただ椅子に座って自由に過ごす人たちの様子を眺めていた。そして、読書でもしようかと椅子から立ち上がった刹那、立ちくらみを起こして倒れてしまったのだ。

意識を取り戻した時、「大丈夫?」と真っ先に声をかけてくれたのは理子だった。その時、風香は訊ねた。「どうして私なんかに声をかけるの?」と。すると、理子は笑って答えたのだ。

「あなたと友達になりたいから」

そして、二人は話すようになり、今では親友と言っていいほどの仲良しだ。

風香と理子は広志から離れ、よく話す三人の女の子のところへ向かう。中学一年生の高田美羽(たかだみう)と坂上心音(さかがみここね)、そして中学二年生の松本涼音(まつもとすずね)の三人だ。
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