徒歩圏内
僕は歩くのも走るのも辞めた。
辞めざるを得なかった。
文字通りプツンという音がして。
車の音や人の声、足音、衣服の擦れる音までとても大きなそして耳障りな音に変わった。
あんなに好きだった人の暖かさも鬱陶しくなった。
空や風、小鳥の囀りに木々の声、
それらとしか話すことが出来なくなった。
言葉にならない言葉を彼らと交わし続ける。
なんて言ってるかは分からない。
恐らくあちらも。
しかしなぜか感じ取れる気がする。
感じ取られている気がする。
落ち込んでいると風が土が寄り添ってくれた。
喜んでいると空が木々が共に喜んでくれた。
もっとも、今それらを感じることは殆ど無いのだが。
僕に触れる人の手は生温く、
弱さと強さと誇りさえも否定した。
いつまでこんなことを続ければいいんだろう。
憤りを感じました。
続く。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

紙

総文字数/356

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

卒塔婆

総文字数/142

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

蛾

総文字数/272

詩・短歌・俳句・川柳1ページ

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop