運命の赤い糸の先には…
外に出ると、茜色の空から薄暗い夜の空へ変わろうとしていた。

「美咲さん。」

図書館を出たところにさっきの彼がいた。そして私の名前を呼び近づいてくる。

「あの、ハンカチありがとう。洗って返します・・って、あれ?何で私の名前知ってるの?」

今日が初対面のはず・・なのに何で私の名前を知ってるのだろう。

「俺は君と同じ高校の生徒で吉沢(よしざわ) 蒼介(そうすけ)っていいます。学校で美咲って呼ばれてるの聞いたから名前だけ知ってた。」

「同じ高校!?でも学校ではギャルメイクしてて今と全然顔違うはずなのによく分かったね。それに、蒼介君ほどのイケメンだったら学校でも目立つはずなのに私全然知らない・・。」

「確かに美咲さんは学校にいる時と全然雰囲気違うね。そのギャップ、好きだなぁ。」

彼は爽やかな笑顔でサラッと言う。そんな彼の言葉に私は赤面し、上手く言葉が出てこなかった。

「あ、こうしたら俺の事思い出してくれるかな。」

そう言うと、ポケットから眼鏡を取り出し装着した。

「・・・あっ!眼鏡君。」

彼も学校にいる時と髪型や服装の雰囲気が違っているから全然気づかなかったけど、今日の昼休みにぶつかったあの時の眼鏡君だ。きっとそうだ。

「あはは。俺、陰で眼鏡君って呼ばれてるの?昼休みはごめんね。ぶつかったのワザとなんだ。」

「何でワザと?」

「美咲さん、金曜日にこの図書館をよく利用してるでしょ?俺もなんだけど、学校で君に似た人がいるなって思っててさ。でも似た人はギャルだし本人かどうかちょっと確認してみようと思って、目印の本を見せるためにワザとぶつかってみたんだ。そしたら今日は図書館で俺の持ってた本と同じの読んでるし、やっぱり同じ人だったんだって・・。」

「確認してどうすんのよ。ギャルが図書館で読書してるのを笑おうっての?」

「笑うわけないじゃん。気になってた図書館の彼女が同じ高校と分かってテンション上がったよ。まぁギャルは想定外だったけどね。」

彼は少し照れたように笑い私を見た。
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