運命の赤い糸の先には…
…あれ?

今サラッと告白された?

いや、気になってたって言われただけで・・好きとは違うのかな。それとも真面目そうなイメージだったのがギャルと分かってドン引きしちゃった?

「そろそろ帰ろうか。美咲さん、家この辺?」

「え、いや二駅先・・。」

「じゃあ駅まで送るよ。」

2人並んで駅へと歩き始める。さり気なく車道側を歩く彼。ちょっとした気遣いがなんだか嬉しかった。

「美咲さん、ギャルメイクしてないと大人しいね。そっちが()?」

蒼介(あんた)の中途半端な発言で頭の中がモヤモヤしてんのよ・・・とも言えず、背の高い彼を見上げて目で訴えてみた。

「ギャルメイクの時も今もどっちも()よ。それよりさ、蒼介君イメチェンしたの?学校の時と髪型とか雰囲気違うけど。」

(これ)?今日は美咲さんに声をかけようって思ってたから少しワックスで髪をセットしてコンタクトにして気合い入れてみたんだけど・・変だったかな。」

彼はセットされた自分の髪を指で摘みながら話す。

「全然イケてるよ。それで学校行ったら女の子達が放っておかないね。モテモテだよ。」

「そうかな?でも目立つの好きじゃないし、学校には眼鏡で行こうかな。」

「勿体ないなぁ。」

と言いながらも内心ホッとする。何となくイケてる彼を他の人に知られたくないと思ってしまったのだ。

「駅まで送ってくれてありがとう。」

あっという間に駅に到着した。彼の方を向きお礼を言うと私はそのまま改札口を通った。そしてまた改札越しに彼の方へ振り返った。

「ねぇ、金曜日にまた図書館来る?」

「うん。行くよ。」

「そっか・・じゃあまたね。バイバイ。」

私は手を振ると電車の方へ歩き出した。

「美咲さん。」

彼に呼ばれ私は振り返る。

「今日読んだ本のタイトル覚えてる?」

「タイトル?確か・・『運命の赤い糸の先には』だっけ。」

「美咲さんの運命の赤い糸の先にも素敵な出会いがあるといいね。」

彼は笑顔で手を振っている。私はどういう意味?と聞き返したかったが、電車が来たのでモヤモヤしたまま電車に乗り込んだ。
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