お前にはかなわない


学校に着くと昇降口付近で人だかりができていた。

どうやらクラス表が掲示されているらしい。

「うーんと、えっと〜、あっ!あった!」

「千宙4組だね!」

「みたいだな。お前は?」

「あ、私は〜えっと~……」

本当に陽向と居ると飽きない。

いつだって笑わせてくれる。

人の名前から探すバカがどこにいるってんだ。

「俺のじゃなくて自分の探せよな」

「あははっ!そうだよね!つい気になっちゃって……」

そう言って顔を真っ赤に染めた陽向に俺はなんて返せば良かったのだろう。

「……。ほら!あったぞ。陽向は5組だな」

そう言って俺は誤魔化した。

「ほんとだ…。」

陽向は分かりやすくがっかりしていた。

「クラス違くても一緒に帰ってやるから!」

なんて言うと陽向は本当に嬉しそうにした。

教室は3階で隣同士だからそこまで2人で向かった。

周りでは「あの子可愛くね?」

「俺あの子狙っちゃおっかな」

「隣にいるの彼氏?」なんて声が聞こえてくる。

そうだった。

陽向こんなにお転婆でも顔は良い方だ。

昔からほっとく奴なんていなかった。
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