ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
今の自分
臨床心理士としての自分に対して自信はない
けれども渡辺さんに
再出発の機会を少しでももたらせてあげられたらと切に願う
今はただ
自分の立場よりも
救うべき相手のことをより強く想いたい
そんなことを思っているうちに
渡辺さんの嗚咽が少しずつ治まってきていた。
「すみません、、私・・・・」
そう口にした彼女の涙はもう流れていない。
『安心しました。』
「えっ?」
今の私
ついこの間のナオフミさんみたいだ
『渡辺さん、ちゃんとご自分の気持ちを見せてくださったから・・・・』
そう言いながら差し出したハンカチを渡辺さんは受け取り、目の周囲に残る涙をゆっくりと押さえる。
「あっすみません・・・・・先生のハンカチなのに・・」
そう言いながら渡辺さんは申しわけなさそうに笑ってくれた。
そこから彼女は、
心療内科の先生に処方された薬を飲んで、気持ちが少し上がってきたけれど、
赤ちゃんとのやり取りやお世話が上手くいかないこと、
そんな自分に夫が気が遣い過ぎて申し訳なく思うこと、
姑が高齢出産になると病気持ちの子供が出てきやすいらしいから早く二人目を産めと急かしてくること
などをゆっくりと話して下さった。
私はできるだけ丁寧に頷き、彼女の話に耳を傾け続けた。
「こんな私、ダメですよね?母親として失格ですよね?」
渡辺さんは私にこう問いかけた。