ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei's eye カルテ11:secret private room
【Hiei's eye カルテ11:secret private room】
「ナオフミくん、NICU大丈夫だった?小柳さんだっけ?」
処置の介助に付いてくれた福本さんがガチャガチャと処置器具を片付けながらそう言った。
『ええ今は部屋で休んで頂いています。もう少し付き添ってあげたかったんですが。』
「ゴメンね。私達で判断しきれない妊婦さんが搬送されてきちゃったから・・」
『いえ、そういう時こそ呼んでもらわないと。そのために僕がいるんですから。』
俺は洗面台で丁寧に手を洗いながらそう応えた。
「頼もしいわね、エース♪・・・そういえば、美咲先生から伝言。」
『・・・・どんなコトですか?』
なんだろう?
今日、俺は美咲に代診とかを頼んでいない
だから今、思い当たるのは
美咲が伶菜にカウンセリングを頼んだ患者さんのことぐらいだな
「今日の病棟遅番当番は私が代わるので、日詠先生は早く帰ってあげて下さい・・・だそうよ。」
『美咲がそんなことを?』
「そう。今は担当患者さんが破水したからって、様子見に行っちゃったけど。どうする?」
美咲は伶菜に自分の患者のカウンセリングを依頼していることもあって
病院内での今の伶菜の様子は多分、俺よりも美咲のほうが詳しい
だから正直不安になる
早く帰ってやれ・・なんて言われるとな
でも病棟に戻ってきてもらった小柳さんの体調も気になる
『どうだかね・・・・』
このまま病棟当番を担い、小柳さんの体調をじっくり診る
それとも
美咲の担当患者のカウンセリングを行ったはずの伶菜の様子を自分の目で確認する
どっちの選択肢を選んだらいいのか
迷いを吹っ切れず、オレはモヤモヤするばかり
伶菜に再会する前なんかは
こういう状況の場合
迷うことなくこの場を離れない選択をしていただろう
迷うとかモヤモヤするとか
そんなコト
なかったんだけどな、俺
そんな気持ちを少しでも吹っ切ろうと
手を拭き終えたペーパータオルをグッと丸め、やや乱暴にゴミ箱に投げ入れた。