ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「ゴメン、呼ばれた。こんな時にすまない。」
多分、産科病棟からの呼び出し。
今までもこんなことが頻繁にあったから。
『・・・・・・・・・・・・』
こちらのほうに振り返るも
目を合わせるようとした私からなぜか顔を逸らして俯いた彼。
いつもはちゃんと “行ってあげて、早く” って言ってあげられるけど
“やっぱりこうなっちゃうんだ” と思ってしまったこの時は首を横に振ることしかできなかった。
お互いに求め合ったのに
最後まで繋がらなかったのは
カラダが震えてしまった私のせい
だけど彼の傍で
どうしたらいいのかを考える時間くらいは欲しかった
それに何かに気がついていそうな彼の言葉も聞きたかった
だけど
時間が許してくれなかった
彼の置かれている立場がその時間を与えてくれなかった
これがナオフミさんと私の現実
だけど
いつかちゃんと解決できるのかな?
それとも
ずっとこんなことの繰り返しなのかな?
ナオフミさん
さすがに愛想つかしちゃうよね?
ここだっていう時にその先に進めない私に・・・
そんなことを考えていた私が不安そうな顔をしていたせいなのか
「約束する。」
ようやく目を合わせてそう言ってくれた彼。
薄暗い部屋の中でもわかった。
こういう時のいつもの彼とは異なる表情をしていたことを。
いつもは
申し訳なさそうな顔をするのに
「もうお前に・・・お前だけに背負わせないから。」
この時は申し訳なさなんて
1%も感じられなかった。
気のせいなのかその時の彼は
なぜか何かを決めたようなそんな顔に見えた。