ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「あれ?日詠先生、お帰りになったのでは?どうしちゃったんですか?こんな夜に。」
午後11時半過ぎ。
産科病棟のナースステーション。
そこで探し物が見つからない俺は
傍から見ても怪しい人物に映ったようだった。
『一度帰ったけど・・・』
「あれ?今日は特にバタバタすることはなかったんですけどね・・それに美咲先生もいるし・・・救急外来のほうに呼ばれたんですか?」
朱色の処置カートの前。
ピンセットを使ってガーゼらしきものの補充していた看護師の谷本さんは不思議そうに首を傾げた。
『いや、そうでもないけど・・・』
「どうしたんですか~日詠センセ?もしかして・・・」
右手に持ったままのピンセットの先をカチカチと鳴らしながら
ニヤリと意地悪な笑みをこぼした谷本さんに苦笑いするしかない俺。
「日詠先生。ちょっといいですか?・・」
そんな時、丁度都合のいいタイミングで美咲が現れた。
『・・・ああ・・・』
「えっ?もしかして、美咲先生からの呼び出しだったんですか~?こんな夜遅くにィ?・・」
「谷本さん、そんなんじゃないですよ~。ちょっと席外しますが、カンファレンスルームにいますから、何かあったら声かけて下さい。じゃ、日詠先生。」
美咲は谷本さんにふわりと笑いかけた後、俺にこっちへ来てと手招きしていた。