ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


伶菜のことを理解しているだけじゃない

コイツは俺が何をするべきかまでもを把握していて
おまけに背中まで押してきやがる

悔しいけれど
やっぱり完敗だ
この男には・・・・



でも

『取り戻すんじゃない。』

「諦める、ってか?それじゃあ、オレ、遠慮なくレイナを頂」

これもただ俺を挑発しているだけに違いない言葉だろうけれど



『切り拓く・・・・』



コイツに
“遠慮なくレイナを頂く”とか
堂々とそんな言葉
これ以上言わせるわけにはいかない

挑発だろうとなんだろうと・・・・



『新たな道を・・・伶菜と一緒に。』



これだけは
絶対に誰にも譲れないから




ようやく目が覚めた俺。

だから自分がすべきことは
やらなきゃいけないと思っていたことをちゃんとやることだと
この時改めて痛感した。

それは彼女の不安を払拭するように自分が仕向けること。



『伶菜の能力を最大限引き出すことで、患者を助け、伶菜も救い上げる。』


つまり自分の患者さん、それも
心身ともにハイリスクを伴う妊婦さんを伶菜に託すということ

患者さんとのやりとりを通して不安を抱いてしまったのならば
患者さんとのやりとりの中で不安を払拭するしかない
・・・もう一度挑戦するしかないんだ



その中で今度こそは彼女の不安を払拭するようなモノに出会ってくれたら
やっぱりそんなことぐらいしか思い浮かばない

もし、それを行おうとしたならば
“彼女を救い上げるために患者を利用した” と言われるかもしれない



でも、そんなこと言わせない

レイナと俺による相乗効果を発揮すれば
患者さんは救われる・・・そう信じるから

それがきっときっかけになって
彼女の不安をも払拭させてくれるはず・・・そう感じたから


だからこの時、誤解されたままでも俺は
また伶菜を追いかけなかった。

誤解を解く言い訳を考えている暇なんかないぐらい
自分のやるべきことに向き合おうとしていたから。


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