ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's eye ケース14:みえないオモイ
【Reina's eye ケース14:みえないオモイ】
ナオフミさんが奥野先生とのキスの事実を認めた。
“ああ” という一言だけで。
そんな彼を責めることなんかできない私は
ただ谷本さんの胸をかりて泣くことしかできなかった。
谷本さんはそんな私を
仮眠室に連れてきてくれて
ソファーに腰掛けるよう勧めてくれた。
「本当ならフレーバーティーとかがあればいいんだけど。」
申し訳なさそうに温かい緑茶まで出してくれて。
「あっ、まだ残ってた。伶菜さんにも、コレ、あげる。」
名古屋駅で行列に並ばないと買えないと噂のプチどらやきまでも差し出してくれた。
スイーツに目がないいつもの私なら遠慮なくその場でご馳走になっていただろう。
けれどさすがにこの時はそれを受け取るだけしかできなかった。
「ハイハイ、、、食べないと元気でませんよ~。っていうか、伶菜さん、なんで日詠先生にどうして奥野先生とそんなことをしたのかって責めようとしなかったの?」
『・・・・それは私が悪いから・・・、』
雑談しているような雰囲気を醸し出しながらも単刀直入な谷本さんの問いかけ。
そっと手元に押し付けられた抹茶あんと書かれたセロファンに包まれたプチどらやきを受け取りながら、私は小さい声で返事をした。
ナオフミさんにとって大切な産科スタッフである谷本さんに
彼という人を誤解されたくなかった。
彼にとって大切な人は私にとっても大切な人。
だから私はまだ知り合って間もない彼女だったけれど
昨日私と彼の間であったことを赤裸々に話した。