ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
早川室長が言ったとおり
伶菜だって潰れる恐れだってある
腹の中にいる胎児達の命と母親の気持ちに寄り添い、どうすればよいか考える手伝いをすること
それは並大抵なことではないと思う
昨晩だって俺の腕の中であんなにも震えていたんだ
おそらく彼女は
新しい命に対する不安とかを抱いているに違いないから
だから
そんな恐れだって十分ある
だけど
妊娠中に祐希の心臓病が発覚した伶菜が
ちゃんと彼を産んでそしてここまで育ててきたその経験
そして
その強さを信じたい
この症例と一緒にいろいろなことを考えること
その中で、この症例も
そして伶菜も救われる
そう信じている自分勝手なこの考えを俺は
「彼女でもやれる、彼女だからできる・・・そう踏んだのね?」
自分自身で払拭できなかった。
早川室長はあんなにもはっきりと反対していたのにも関わらず。
だから俺は丁寧に頷いた。
反対されても
ブレるわけにはいかない
どうしても
彼女と・・・・伶菜と一緒にやるんだ
それをどうしても伝えたくて。
深々と頭を下げたまま
俺はしばらく動けなかった。
正直なところ
早川室長の反応を変えられたという手ごたえがなかったから。
「日詠先生。頭を上げて下さい。」
促されるまま頭を上げた。
やっぱりダメか・・・・
でもここで簡単には引き下がれない
傷ついているであろう伶菜を置き去りにしてまで
俺はここにいるんだからな
『早川室長・・・・やっぱりダメで』
「伶菜さんにクライアントの初回評価をさせます。」
早川室長は俺の言葉を遮るようにキッパリと返答した。
『ということは・・・』
「ただし、条件があります。」
・・・・条件?