ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
早川室長は俺が知っているうちでも
今までで一番と言っていいほど鋭い瞳をしていた。
「必ずクライアントのためになる仕事をさせること。それが条件です。」
『必ず。』
試すように早川室長は俺の目の奥を見つめた。
ここで怯んだら
この先もきっと上手くいかない
『必ず、絶対に成功させます。』
どんな時だって
治療や手術に“必ず成功する”という保証なんてない
本当なら簡単にそんなことは口にしてはならない
でも時には強気で押し切ることも必要
壁が高い時こそ
そういう姿勢も
自分を奮い立たせるには、、な・・・
「神の手を持つのに謙虚で名が通ってるアナタに、そんなことを言わせる彼女・・・スゴイわね。」
『信じてます、、から。』
「言われてみたいモノね、信じてるって。頼みますよ、私達の大切な仲間なんですから。」
潰すな・・・と言わないところが
ベテラン臨床心理士としての真骨頂だと思えた。
『ええ。必ず。』
俺は “宜しくお願いします” と書いた付箋を貼り付けたTTTS症例のカウンセリング依頼箋を早川室長に手渡し、そして部屋を出た。
それからの俺は
時計を見る暇もないぐらい自分の業務をこなすのが精一杯な状況だった。
初めてのTTTS症例の治療方法を再度検討したり
もしかしたら今回行うかもしれないレーザー治療の手技の確認をしたり。
どれだけの時間を費やしていたのかもわからないぐらい
・・・・それらに没頭していた。
それでも不安は掻き消すことができなくて
俺はそれらの文献を探すため、資料室へ向かった。