ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
図書館とは別にある資料室
診療科が数多く存在する総合病院であるこの病院も
半端ない数の医学雑誌が蔵書されている
資料室はそれらの医学雑誌のみを蔵書するための部屋となっている
部屋の中は
蔵書検索のためのパソコンが1台
それと
簡素なデスクとチェアが2台ずつ置かれている
室内はやや薄暗くて
古書独特の少々鼻につくニオイも漂う空間
そのせいか
ここで他人に出くわしたことはほぼ皆無で
いつも静寂な場所
資料検索以外にも
じっくりと考えたい時
そして
ちょっと休息をとりたい時にも
こっそり外来を抜け出してここに来ることもある
資料検索をしながらうっかり眠ってしまうこともしょっちゅうで
首を寝違えた痛みで目を覚ましたりすることもあるぐらいだ
そんなこの空間は
実は俺の秘密の居場所だったりする
『今日はうっかり寝ないようにしないとな。昨日、全然寝てないけど。データーを拾いきるまでは。』
そう呟きながら資料室のドアを開けた。
滅多に電気がついていない資料室に灯っていた明かりに俺は思わず目を凝らした。
検索用のパソコンの前に座っていた人物から漏れてしまったような声。
ちゃんと顔を合わせたかったけれど会わせる顔なんかなかったその人。
「あ、、あの、、、コレ・・・」
だから声をかけてくれたのが
せめてもの救いだった。
『・・・ああ・・・・・』
目の前にいるその人は
俺に対して怒りという感情を抱いて
俺の存在を無視したりしても
なんらおかしくなんてないはずなのに