ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


キスされちゃう・・か・・・

“自分から奥野さんを求めたわけじゃない”

そう俺が言い訳する前に
言い訳する隙まで奪いやがって
しかもヘタクソで優しさ満載の“バカ”付きでな


こんな罵り方、反則だろ?

俺が自業自得だと自分を責めるスキを奪うだけでなく
彼女が紡いだ “バカ” がなんか心地いいと感じてしまうぐらい
すっかり骨抜きにされちゃってるだからな


森村にまた溜息をつかれそうだけど

こんな調子じゃ、俺
これからもずっとこのまま
“言い訳のスキル” を上げることはできないだろう


伶菜がこうやって俺のココロの中を見抜いてしまうし、
俺がそんなスキルを上げる隙がないぐらい
彼女のことしか見えてないから・・・・



「だからもう、そんなこと、、なしにして下さい・・・・・」

『・・・ああ。』



相変わらず泣き笑いな状態の伶菜。

気持ちがふわりと和らいだ。
そんな感情をもたらしてくれる彼女に
・・・したくなるのを我慢した。
俺にとってたったひとつである
大切なキスを。


我慢している俺を不思議に思ったのか
伶菜は眉間に皺を寄せながら俺を見つめた。

その姿すら愛しくて
我慢に我慢を上乗せするハメになった。



なぜなら・・・
そのキスしてしまったら
今度こそ本当に

伶菜の全てを今ここで、なりふり構わずに
欲しくなることが
イヤというほど理解したから・・・・・



おあずけだな


でも
やっぱり俺は大人になりきれていなかった。

思わず漏れた。
俺の本音が・・・。



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