ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



このまま黙ったままいるのがいいのか
それとも
気になっていることを聞いてしまってもよいのか

ひとりの大人の対応として
そのどちらもよいとは思えなかった私は
手元にあった指示処方箋を手に取った。

そして決断する。
ひとりの臨床心理士としてこの場にいようと。

昨日の夜のことは
目の前にあるこの仕事を乗り切ったら
それから考えようって。

だから、今、自分が必要としているであろう本を手に取り、立ったまま読み始めた。
1分1秒も無駄にしないように
いち早く自分がすべきことにちゃんと気がつけるように
まずは知識を入れなくては・・・・と。



それなのにナオフミさんは
その決断をいとも簡単に打ち砕いてくれてしまった。

ダイスキな彼の優しくて穏やかな香りとともに
“奥さんなんだから・・俺の。” という言葉で。


だからできないのをわかっていて
彼に言い訳を求めた。
そうでもしなきゃ彼はただ自分を責め続ける
そう思ったから。

本当はそんなこと、ナオフミさんにさせたくない

奥野先生とキスしちゃったこと
すごくすごく哀しいけれど
でもそんな感情以上に
ナオフミさんが自分を責めている今のほうがもっと哀しい


『奥野先生に、キスされちゃうなんて、バカ・・・』

だから私は
彼を自分責め状態から抜け出させてあげられるよう本音を紡いだ。

だって
スキだから
優しすぎるあまりに自分を傷つけてしまいがちな
不器用なナオフミさんが



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