ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「気付かれないように、跡、残さないから安心しろよ。」
「ダメです!!!!! 神さまはちゃんと見てるから!!!!!」
「神様か~相変わらずとぼけててカワイイな~レイナは。やっぱり食わせて♪」
アイツ
油断もスキもありゃしないな
どこの書庫にいるんだ?
この病院の資料室の蔵書、多すぎだろ?
ここの他にもちゃんとした図書館があるのに
「うわ、盗み聞きぃ~いやらしいわ~日詠センセ♪」
普段は “この病院、蔵書が多くてありがたい” と感謝しているのに
今はその蔵書の多さにイライラするばかり
そんな俺の存在に驚かないどころか、森村は自分から俺に近付いてきやがった
俺がいることに気がついてないじゃなくて
ちゃんと気がついていた上でのさっきの言動だな
ここから先も多分とんでもないこと言い出しそうだ
「おたくの奥様、欲求不満?」
『・・・・・・』
森村に耳元で囁かれ、一瞬で背筋が凍った。
森村の意味不明な行動なんか予想していたはずなのに
こんなふうになったのは
彼のせいなんかではなく多分、伶菜のせい
「アダルトDVD貸して下さい・・・だってよ。ククク・・・」
『なん、、、、』
「知らなかったな~レイナにそんな趣味があったなんて。俺なら一緒に観てやるぐらい大歓迎!!!!!!・・・・おっ、レイナ、来た来た、やっぱ、貸してやるわ!さっきのアレ。」
森村は真っ赤な顔をして俺らのほうに近付いてきた彼女に向かってニヤニヤしながら手招きをしてみせた。
「・・・森村先生~。」
眉間に皺が寄せこちらに向ってきた伶菜。
彼女は森村のほうを向き、口元で人差し指を立てて“言わないで”のサインをしてみせた。
森村と秘密を共有するという
そのサインひとつだけで
密かにガッカリしている俺
自分の中にこんな一面があるということを知ったのは
多分、伶菜に出逢ってしまったせいだ
「内緒の、ナイショね~♪じゃ、整形外科のドクタールームにレッツゴーだな♪それじゃ、日詠センセ、お先に~♪」
「えっ????あっ、じゃお先に・・・・あっ、、そうだ、日詠先生、私、ちゃんと宿題やりますから!!!!」
珍しく早口でそう言った伶菜は森村にあっという間に手を掴まれて資料室から出て行ってしまった。