ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「ダメよ、ナオフミくん。伶菜ちゃんにナイショね♪って言われてるんでしょ?」
耳元から聞こえてきた福本さんからのダメ出し。
しかもクククッなんて笑っていて。
『・・・・・・・・・』
「ひひひ、ネコにマタタビ、ナオフミにレイナ♪」
『マタタビって・・・』
「さ、コレ、目を通しておいて下さいね。あと予定帝王切開のクリニカルパスの記入もね!日詠センセ♪」
明らかに面白がってる顔の福本さん。
そして彼女は周りに聴こえないぐらいの小さな声でそう言いながらカルテの束を俺に押しつけてきた。
あっけなく戦意喪失した俺は
はぁ~と溜息をつきながらカルテを開き、午前中の病棟の患者さんの様子を確認し始めた。
それなのに
「そういえば、日詠先生って、奥野先生との噂もあったじゃん?なんか進展あったのかな?奥野先生、系列病院に異動しちゃったってコトは・・・もしかして奥野先生と結婚とか?!」
「うそ!!!!!あたし、美咲先生と日詠先生がデキてると思ってた・・・・」
「眼科の夏木先生も日詠先生を狙ってるって聞いたけど・・・夏木先生ならあたしでも勝てるかと思ってたのに・・・・」
耳から聴こえてくるのは、産科患者さん情報ではなく、やっぱりわけがわからない話ばかりで。
それにしても
なんで俺の交際相手の予想とかしてるんだ?
っていうか
眼科の夏木先生って誰だ?
・・・・なんでそうなるんだ?
俺を会話に引き込んでくれようとしている冗談話でも
さすがに伶菜には聞かれたくないしな
余計な誤解とかさせたくないし・・・
「で、実際のところ、日詠センセ、どうなんですか?」
でもどうしたらいいのか
彼女達にどう返答したらいいのか・・・
「ほらほら、仕事、仕事。日詠先生も業務に集中できないから。」
福本さんは面白がりながらもこうやってちゃんと助け舟を出してくれたりもする。
けれども
「でも、集中できないわよね?高梨さんもそう思うでしょ?」
・・・・高梨さん・・だと?!