ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
誰もいない資料室で伶菜を押し倒しそうになったあの日
森村に手を引かれ、俺の前から連れ去られてからお互いにバタバタしてロクに顔を合わせられていなかった相手・・・伶菜
病院内でバッタリ会うことがないどころか
多忙な業務で全然家にも帰れていなくて
伶菜もそんな俺に気を遣ってか、メールでしか連絡をよこさなくて
俺も伶菜の忙しさを気にするあまり、メールでしか連絡してなくて
・・・・完全なすれ違い状態
そんな中でも売店のおばさんの情報を耳にした俺はいてもたってもいられず
自分も買ったメロンパンを右手に。
追加で伶菜のために買った彼女の好物のひとつの宇治抹茶ラテを左手に持った。
「日詠先生、おつり忘れてるよ!!!ちゃんともらっていってよ~」
という売店のおばさんの叫び声をそのまま置き去りにして
俺は屋上に繋がる階段を駆け上がった。
相変わらず錆びた開閉音を奏でる重い扉を体当たりで押し開けたその先には
ベンチに腰掛けて嬉しそうな顔でメロンパンにガブリとかぶり付く白衣姿の伶菜の姿があった。
白川さんのカウンセリングに目処がついた安堵感。
まだ少し離れた距離にいた俺だったけれど
彼女のその姿を見てそう感じた。
目を細めてじっと見つめてしまっていた俺。
俺の視線に気がつき、目が合った瞬間、恥ずかしそうに目尻を下げた伶菜。
『コレ、飲むか?』
そう言いながら俺は彼女に近寄り、さっき買ったばかりのまだ冷たい宇治抹茶ラテを彼女の頬に当てた。
「冷たっ!!!!!!あっ、コレ、スキ!」
伶菜はまた嬉しそうな顔でそれを受け取り、ありがとうとお礼を言ってくれた。