ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
そして彼女の隣に腰掛けて、おもむろにメロンパンの袋を開けた俺。
隣にいる彼女は自分のメロンパンと俺の手中にあるメロンパンを見て、ふっと笑った。
また、メロンパン食べてる・・・とでも言われているみたいで少々恥ずかしい。
『さあ、食うかな。』
そんな自分を見抜かれないようにできるだけ平静を装った。
「私も抹茶ラテ、頂きます。」
でも、そんな俺を伶菜は見抜いていたようで。
彼女は俺が飽きもせずにまたメロンパンを食べていることに触れたりすることなく、宇治抹茶ラテのストローぐちにストローを差した。
こうやってゆっくり流れるふたりの時間。
あの夜に流れた息の詰まるような時間が嘘のように思えるぐらいに。
こんな穏やかな時間なら
このまま止まってもいい
密かに俺はそんなことを想っていた。
「ナオフミさんも、飲む?」
伶菜はそう言いながらストローを刺したばかりの宇治抹茶ラテを俺に差し出した。
『お前が飲んでから、貰う。』
「えっ・・・・」
『ダメか?』
「え~っ!!!!!!ナオフミさん、そんな趣味、あったの? か、間接キス・・とか・・・」
一瞬で真っ赤な顔になった伶菜。
『そんな趣味って・・・どんな趣味なんだ?』
「だから、中学生の時とか、“喉が渇いたから、それ、ちょ~だい”って遠まわしにスキな人に言って、間接キスをゲットってこっそり喜んだり・・・・しませんでした?」
伶菜、お前
そんなこと、してたのか?
伶菜が中学生の頃って多分、俺は大学生
俺は彼女の存在を探しながら、見つからなかった状況に
少々心を痛めつつ自暴自棄になり始めた頃だ
その頃にスキな男との間接キス・・か
『・・・・・してない。』
なんか虚しさを感じる
そんなかわいいエピソードにすら
ガッカリしてしまう自分自身に対して
「でも、そのジュース、欲しいなっておねだりされたりしたことはあるんじゃ・・・」
ある、、、かもしれない