ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
相変わらず気持ちのよい青空の下。
俺と伶菜は
お互い白衣を身に纏ったままであることも気にせずに
甘く優しいキスを交わした。
一緒に頑張ろう
そんな優しい気持ちが込められているような
甘くて優しい・・・そんなキスを。
今度は俺が宿題に取り組む番になる前の
ほんのつかの間の充電時間。
キスのその先の・・・止められないはずの本能をなんとか止められたのは
伶菜が俺に繋いでくれたバトンのおかげ
だから今度は俺がバトンを慎重に大切に繋ぐ
『じゃ、そろそろ行く。』
「うん。行ってらっしゃい。」
そろそろ行くって言ったくせに
俺は伶菜にもう一度キスした。
ついさっきのあのキスが欲しくて。
「も~う。そろそろ行かないと、産科、大騒ぎになるから。」
『ハイハイ。じゃあな。』
「あっ、私のメロンパン!!!!!」
「間接キスってやつも、もう1回もらっておく。」
伶菜は気がついているのだろうか?
こうやって背中をおしてくれるキミの存在が
俺に勇気をくれているということに
産科医師として俺がスキルアップするのには
もはや伶菜抜きには成し得ないということに
ひとりの男として成長するには
絶対に伶菜がいなくてはどうにもならないということにも・・・
そして
結婚している事実を病院内では隠して置いて欲しいと言ったキミが
誰が見ているかわからない屋上という空間で
俺とキスすることを躊躇わなくなったことにも・・・・
「行ってらっしゃい。」
伶菜に促されて無理矢理充電時間を終えた俺は
奪い取った食べかけのメロンパンを右手で掲げ、気持ちいい青空の屋上を後にした。