ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
そう想いながら、ナオフミさんがかじった後のメロンパンを自分もかじった後、“間接キスしました” アピールをした。
その後に交わした間接ではないキスは
ふたりのココロの距離の近さを感じられた
あったかいキス。
もう1回したキスからは
離れたくないって伝わる
・・・・そんなキスだった。
屋上だけど一応職場
そこで感じたココロの近さは
臨床心理士として半人前の自分でも
大丈夫なんだとも思わせてくれる
心地のいいものだった。
産科病棟に戻る彼の背中を見ても
いつものように置いていかれる感覚を感じることはなかった。
それだけではなく
この人が私のダンナさまであることを誇りに思えた。
『ナオフミさんと私。少しでもお父さんとお母さんに近づけているかな~?』
そしてナオフミさんがいなくなった屋上でひとりになった私。
澄み切った空を見上げて
私達を天国から見守っている両親に問いかけた。
でも当たり前だけど、その質問への返事は聞こえなくて。
『産婦人科医師と保母さんって、不思議な組み合わせ。』
産婦人科医師だった父親と保育士だった母親
ふたりがこの病院で一緒に働いていた様子を福本さんや早川室長から聞かされたことがある
父の手を介して産まれてきた病気を持つ子供さん達を母が小児科病棟でお世話していたということ
仕事の合間を縫って、父も母と一緒に子供達と遊んであげていたこと
病棟の子どもで遊び場であるプレイルームという場所が
このふたりによって
温かい場所になっていたということ
『でも憧れちゃうな~』
いつか私もナオフミさんと
患者さん達を救い、そして支えたい
父と母のように・・・・・
『さてと、私も・・・休憩、そろそろおしまい!』
爽やかな風を胸いっぱい吸い込んだ私は
ベンチから立ち上がりカウンセリングルームに戻った。