ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



午後の仕事を終えて帰宅したけれど
この日もやっぱりナオフミさんは夕飯に間に合わなかった。


『今日も夕飯、一緒には無理かな。』

夕飯の肉豆腐が入った鍋の蓋を開けた時に届いたメール。
“明日のオペの準備で帰れない。ゴメン。祐希にも伝えて。nao”


メールを読み終えた私は携帯をエプロンのポケットに入れて、再び鍋の中をじっと見つめた。


『温かいもの、食べさせてあげたいな。』

その後、5分ぐらい経った後、今度は携帯が鳴った。
通話ボタンを押す前でもわかった。

ううん。
私が一番声を聞きたかった相手。


「明日、、、いや、なんでもない。おやすみ。」


メールが苦手な彼。
やはりメールだけでは伝え足りなかったんだろう。

この時の声からも緊張感が感じられて。
こちらが息が詰まりそうだった。


ここずっと病院に詰めていて
ゆっくりと家でくつろいでいる姿を全然見ていない

そこまでして白川さんの手術の準備をしているのに
神の手を持っているって称されているのに
ナオフミさんでも緊張・・・・するんだね

でもその緊張感も一緒に受け止めるよ


『ナオフミさん、、待って!!!』

「伶菜?!」



わかるもん

その緊張感
私も味わったばかりだから
大切なバトン、私からちゃんと
受け取ってくれているのがよくわかったから



『大丈夫だよ。明日のオペ、上手くいく。』

「・・・・・」

「私もそう祈ってる。だから、自分を信じて。」

「・・・ああ。」


彼がそう返事をした瞬間、携帯電話の向こう側から聞こえてきた彼を呼ぶ声。
急患が入ったみたいだった。


「・・・・・・ゴメン。」

『いいよ。切るね、電話。』


「伶菜!!!!」

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