ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's eye ケース18:覚悟とヒミツ
【Reina's eye ケース18:覚悟とヒミツ 】
「手術を始めて間もなくして血圧が下がりましたが、間もなくして持ち直し、その後は問題なく進みました。」
「そうですか・・・」
産科病棟の面談室。
手術を終え病室で休んでいる白川さんに代わって、彼女の旦那さんがそこでナオフミさんからの説明を受けていた。
私も今後のカウンセリングの参考にさせてもらうために一緒に同席させてもらった。
机上に置かれた【説明・同意】という見出しが書かれた真っ白な紙。
ナオフミさんはそこへ母胎と胎児2人の図をさらさらと描いた。
「ここの血管をレーザーで処置しました。」
そして彼はそう言いながら3色ボールペンの赤いノック部分をカチカチ押した後、血管の図に赤色の×印を書き込んだ。
「現在のところ、母子ともに安定しています。」
「よかった・・・」
息をつくようにそう呟いた白川さんの旦那さん。
それでも、ナオフミさんの表情はまだ険しかった。
「それでも、まだ、すべてが解決したわけではありません。例えば」
「日詠先生!!!!!」
ナオフミさんによる説明を遮るように彼の名を呼んだ白川さんの旦那さん。
そんな彼をナオフミさんは驚く様子を見せずに彼が発するであろう次の言葉を待っているようだった。
「私も真澄も、覚悟はできています。それでも、産むって決めたのですから・・・」
おそらく、ナオフミさんは今回の手術が成功しても、分娩のリスクや胎児における障害発生の可能性についての問題が全て解決されたのではないことなどについての説明を行おうとしたのだろう。
きっぱりとそう言い切った白川さんの旦那さんをじっと見つめたナオフミさんはようやく表情を崩した。
「ボクも心強いです。今後まだ、帝王切開を予定してますから。」
いつもの穏やかな顔に。