ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



「肩、でいいんですか?」

『ああ、少し休ませろ。』

「・・・ハイ・・・・」

さっきまでの緊張感が誰かに抜き取られたように拍子抜けの返事をした伶菜。


これでよかったんだ
慌てることはない
ゆっくり進めばいいんだからな

そう自分自身に言い聞かせた俺は
伶菜の肩に自分の頭を軽く載せた。



「ナオフミさん、首、痛くなっちゃいますよ・・・」

『大丈夫。』

そう応えて目を閉じた俺。


こういう時間ですら大切に思える俺は
どうしようもなく伶菜依存状態なんだろう

でも、せっかくだし
そんな時間を堪能しようとしていた俺に


『あ?!!!!』

伶菜はまたもや想定外の行動をしでかした。


「首、痛くなっちゃうから、こっちのほうが・・・」


彼女は
俺の意志を問うことなく
右手で俺の頭を
左手で俺の左腕を支えながら
あっという間に
俺の頭を自分の膝の上にのせた。


いわゆる “膝枕”

俺の記憶が確かであるのなら
自分がオトナになってから膝枕された経験がない
もっと正確に言うと膝枕をさせなかった

感情はどこかに置き去りにして
欲望を満たすためだけに女性を抱いていた俺はそれを頑なに断った

その頃
なかなか見つけ出すことができなかった伶菜の存在を想うと
自分の中に苛立ちとともにどこかに隙ができていて
その隙につけこまれて
俺のペースを乱されるような気がしたから



そこまで計算しながらマイペースに女性を抱いていた
そんなヒドイ記憶もある俺だけど

そんな自分の行動が
今に至ってはもしかしたら正解だったかもしれない
そう思えてしまうぐらい
膝枕されている俺は動揺していた。

ダメだ
彼女の太ももから伝わる体温が心地よすぎて
彼女の想いがどこにあるのかを冷静な判断とかできる自信がない

もうこうなったら
寝たふりするしかないよな



「寝ちゃった・・・やっぱり疲れたんだね。」

『・・・・・』


寝てなんかいなかった。
疲れて眠るどころか目は冴えていて。


< 215 / 367 >

この作品をシェア

pagetop