ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「こんなとこにホクロ、あるんだ。」
『・・・・・』
自分の顎の左側にある小さなホクロあたりで一瞬、なにかが掠めた感触を覚えた。
「鼻すじ、近くでみてもスッとしていて、キレイ。」
『・・・・・・』
今度は
眉間から鼻のてっぺんまで
かすかに撫でられた感触も。
目を閉じたままだが
その感触をもたらしていたのは
間違いなく彼女。
でも彼女の中では眠っていることになっている俺は
その感触を自分の目で確かめるわけにはいかず、
そのまま目を閉じていた。
「実は奥二重?!」
『・・・・・』
それでもやっぱり
なんか恥ずかしい、のな
鑑賞会されてるみたいで
「こんなにカッコいいのに、スゴイ、モテるのに、奥さんがあたしでもいいのかな?」
『・・・・・』
奥さんがあたしでいいのかな?なんて
何を今更・・・
それ以外になにがあるんだ
って言ってやりたいけど
もう少し伶菜のつぶやきに耳を傾けたほうがいいよな
俺が眠っていないことに気がついてないみたいだし
「それでも、やっぱり私はアナタがいいです。」
噛み締めるようにそう呟いた伶菜は
寝ているフリをしている俺に少しずつ顔を近づけ
そして
そっと唇を重ねた。
理性が崩れ始めていた俺は
思わず目を開けてしまいそうだったが、
なんとか堪え彼女のその先の行動を待った。
「ダイスキ、ダイスキ、ダイスキ!!!」
呪文のように何回もそう唱えた彼女。
彼女の覚悟とやらは、勢いかもしれないけれど
今のダイスキで理性がどんどん崩れていくのを自覚した今の俺にはそう感じる余裕がなかった。
目を開けて起き上がり
そして彼女を抱きしめようとした。
その寸前だった。