ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
ピピピッ、ピピピッ
俺の白衣のポケットに突っ込んである院内PHSが音を立てた。
手術終了後は完全オフ予定にしてある今日の俺。
こういう連絡は緊急患者かそれとも、しょうもない事務連絡のどちらか。
でも
スタンバイまでちゃんといる今日の産科診療チーム
だからおそらくこの電話はしょうもない事務連絡だろう
とりあえず、今はスルーだ。
医師としては完全に失格だけど
今日の俺はあえて伶菜を優先する
俺ら、多分、今、相当大事な局面にあるからな
それなのに・・・・・
「ハイ、日詠です・・・・あっ、産科の日詠先生のPHSです。今、日詠先生、仮眠とられているので、私、日詠伶菜がご用件を伺います。」
伶菜は目を閉じて動こうとしなかった俺の首にかかったままだったPHSの首ひもをスッと引っ張り、PHSを白衣のポケットから勝手に抜き取った。
そして、ヒソヒソ声で電話応対までし始めた相変わらず想定外な彼女。
「あっ、福本さん。」
福本さんか・・・
急を要する用件なのか
それとも
しょうもない用件なのか
読めないな
「えっ?、ヤってる最中って?!そ、そ、そんなことないですよ~」
ヤボ用に間違いなしってとこだな
緊急時だったら、そういう話から切り出さないはずだ
っていうか
ヤってる最中とか、あんまり伶菜を刺激しないで欲しい
っていうか
あんまり俺を刺激しないで欲しい
俺は首の皮一枚で繋がっているような理性でここまでなんとか持たせているんだからな
どうせなら、俺を呼び出して欲しい
っていうか
俺が自分で電話応対すればよかったんだよな
自業自得ってとこか
でもまあ
福本さんとの電話で
さっきまでの雲行きが変わるのは多分、間違いない
彼女の覚悟とやらを今、身を思って思い知ることは
難しくなるだろう
俺はそう思ったのに。
「でも・・・今からはどうなるかわかりません。」