ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
目を開けられないままの俺は
伶菜の表情を窺うことができなかった。
でもその声は
「だから、今からしばらくは・・・緊急コールがかかっても、繋いであげられません。」
何かを心に決めたような
ハッキリとした口調で紡がれたことだけは
目を閉じたままの俺でも感じ取れた。
それにしても
緊急コールがかかってきて
俺よりも気にかけるのは伶菜のはずだ
そんな彼女が
緊急コールまでも排除した
ハッキリと、キッパリと・・・
その声によって
“私、覚悟、、ちゃんとしてるから!!!!!”
俺の耳の奥でリアルに蘇った伶菜の言葉
いくら俺が眠ったフリをして
彼女の本心を伺うための猶予時間を持っても
伶菜自身は揺らぐことがなかった
・・・・そういうことなのか?
「なので今からしばらくは、ナオフミさんは私だけのものです。ごめんなさい。」
俺はこの駆け引きの主導権をとうとう握ってしまった彼女のその言葉で
彼女の覚悟が揺らいではいなかったことを確信した。
今、この膝枕状態も悪くはないけれど
俺がすべきことは
『今から、しばらく、じゃないだろ?』
「えっ??????」
閉じたままでいた目を開けること
『今までも、これからも、ずっと・・・』
膝枕されていた自分の体を起こすこと
それから
『伶菜だけのもの・・・だろ。俺は。』
俺が眠っていなかったことを驚いたのか
目を白黒させながら自分を見つめる彼女を
強く抱き寄せる・・こと
「私も・・・」
俺に抱きしめられたまま、顔を上げた彼女の瞳の奥を
ちゃんと見透かすこと
そして
「ナオフミさんだけのもの、です。だから」
『・・・・・・・・・・』
“だから” の続きを待つことだった。
さっきは俺が遮った。
でも今度は
そんなことするつもりはなかった。
いや、
伶菜の強く光る大きな瞳が
俺にそんなことをさせてはくれようとはしなかった。
「抱きしめて下さい・・・」
その言葉を丁寧に紡いだ後、俺の腕の中でそっと目を閉じた彼女。
凛としたその横顔。
彼女から迷いなんて感じられなかった。
そんな彼女に対して
俺が更にすべきだと思ったこと。
それは
「ん・・・」
自分の想いを存分にこめた
キスをすること
“怖がるな”
“もう迷うな”
“全てを俺に預けろ”
そして
“俺だけを求めろ”
今まで抑えていたそんな気持ちを
このキスにこめた。