ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活




その勢いで彼のスクラブに再び手をかけた私。
それなのに
彼によって外されたその手。

以前のようにカラダの震えは出てないのに
“なんで?”と問い質す言葉が出てこなかった私は
つい眉間に皺を寄せ、彼を見おろした。


同じように眉を寄せた彼。
さっきまでの鋭い瞳はどこにもなく
まるで別人のようだった。


「大事に抱きしめてやれない」

『やっぱり、私じゃダ』

ダメなの?と言おうとした私を遮るように彼は呟いた。



「・・・・・さすがに今は持ってない」

『えっ?』



自分を責め始めていた私は
彼のその呟きをすぐに理解することができなくて、つい首を傾げた。

困った表情を浮かべた彼。
苦笑いまでもこぼしながら彼は小さく口を開いた。


「・・・・・・コンドーム。」

『コ、、こっ?』

「大事なこと、だろ?不安な気持ちがあるなら尚更。」


職業柄なのかな?
サラリとコンドームと言えちゃうとこ・・・とか
でも確かに大事なことだし
ちゃんと私のことを想ってくれているって感じるから
素直に嬉しい

けどね


『あの・・・』

「伶菜?」

『私、覚悟できてるっていうか・・・・』

「・・・・・?」

『だから、もう・・・ダイスキ、ダイスキ、ダイスキ!!!!』


今この状況で抱きしめられることを覚悟していることを
上手く伝えられそうもないと思った私は
森村先生が教えてくれたダイスキ作戦を炸裂しながら
彼にふたたびギュッと抱きついた。



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