ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活




自分が心の奥底に押し込めたままで手がつけられていない不全感までもを
彼には完全に把握されているようだ

伶菜を大切に想う彼が俺に求めているその不全感に立ち向かう勇気を
これからの俺はちゃんと抱くことができるんだろうか?


『今度こそ行かなきゃな。業務が山ほどある。』


幸せな気分で浮つき気味だった朝が
他人の手に引かれ現実に引き戻された午前8時25分。


『おはようございます、日詠です。501号室の小森さんの蛋白尿と血糖値のデータ、どうです?』

俺はPHSを片手にいつもよりも急ぎ足で産科病棟に向かった。

こうやってまた忙しない現実の日々に戻った俺は
伶菜がすぐ傍にいてくれていることに安心しきっていた。

だからだろうか?
彼女の変化に気がついてやれていなかったのは。

もし、俺が森村に指摘された時に
自分自身の不全感に対してきちんと立ち向かえていたのならば・・


後に、彼女に心細い想いを抱かせたり
彼女をあんなにも危険な目に合わせたりすることは
なかったかもしれない・・・・




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