ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
突然首筋に感じた感触に驚いた勢いに助けられて。
私はようやく声を上げることができた。
でもそんな私に彼は怯むはずなんてなくて。
「どういうことですか?こんなとこにまでキスマークつけられて。いけませんね~昼間から公共の場で。」
彼はお説教口調で私の首筋に触れた。
予想していた柔らかい感触とは異なる “押しつけられるような感触” に私はまた驚いた。
「ミスター名古屋医大殿堂入りの男がこんなことするって・・・マジ驚きっ!っていうか独占欲の塊になっちゃったんだね~いい年してさ。困ったモンだね、あの人は。」
顎を掴んでいた指が離された直後、大急ぎで首筋に触れる。
自分の人差し指と中指が触れたものは少しザラザラしたテープのようなものだった。
「絆創膏より目立たないだろ?・・・ソレ、新しく発売予定の手術創部の保護用テープのデモ品。さっき医局の前でMR(医療情報担当者)に“コレ、史上最高の目立たなさですから!!!!!”ってポケットの中に突っ込まれたヤツ。」
白衣のポケットからそのデモ商品を手にとって見せてくれた森村先生。
私はすぐさま鞄の中に入っていた手鏡で首筋を確認してみた。
慌てていたせいか、テープを貼り付けた部分を鏡に映し出すのに苦労したけれど
そのテープは絆創膏のようなパッドがついていない肌色のもので
彼が言ってくれたように肌に張っても目立ちにくそうなものだった。
鏡でも確認しづらく、私も気がついていなかったキスマーク。
でも他人から見たら気がつきやすそうな顎の近くにつけられてい
る・・・・ナオフミさんが “俺のモノ” って言っているようなそれ。
なんかくすぐったい気持ちになったけれど
他人にどう思われるかが気になる気持ちもあって
勤務中の私にとって森村先生の配慮は正直ありがたかった。
『あの・・・・』
「ん?何?」
『・・・・ありがとうございます。テープ。』
「オレのこと、惚れ直した?やっぱこのままダンナに内緒でヤっちゃう?」