ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



後に私に起こった出来事

そんな出来事のはじまりは
忠告を受けた時から2ヶ月ぐらい経過した頃からだった。

おそらく昼休みに行った食堂で久しぶりに産科の福本看護師長に会って
一緒にランチしようと誘われた時がそのはじまりだったと言えると思う。



『このメロン、なんか苦くないですか?』

「あれ~?私のは結構甘いわよ~ほら、食べてみなよ!」


私にとってお母さんのような存在の福本さん。
そんな彼女に
“伶菜ちゃん、最近、よく頑張っているから” と奢ってもらった院内食堂特製日替わりAランチを一緒に食べている時だった。

福本さんがフォークに突き刺して “はい、あ~ん♪” と差し出してくれたメロンを頬張ると、やっぱりさっきのような苦味を感じ、つい顔をゆがめた。


「伶菜ちゃん、もしかして花粉症とかアレルギーとかある?」

福本さんもメロンを頬張りながらそう問いかけてきた。


『検査とかしたことないですけど、春先はほぼ毎年、鼻水や目のかゆみに悩まされているんですよ~。今みたいな暑い時期は大丈夫なんですが・・・・』

「そういえば、高梨先生も“春先は鼻水が止まらなくてね・・”ってよく鼻をかんでいらっしゃったわね・・・・イケメンドクターでも鼻をかむんだって印象に残ってるんだよね・・・・体質が遺伝したかもね。」

『福本さん、アイドルだって鼻をかむんですから・・・・アハハ』

「だって高梨先生、派手に音をたてて鼻をかんでいたから、いつもの彼のイメージとかけ離れすぎていて・・・ギャップがすごかったのよ。」

「でも突然アレルギーってなんでわかったんですか?お父さんもそうだったから?」

ようやく笑いが収まった福本さんは食べかけだった八宝菜を箸でとり、口に運んだ後こう言った。


「花粉症がある人は果実アレルギーを持っていたりすることが結構あるのよ。メロンアレルギーあったりして!!!!! 一度アレルギー検査受けたほうがいいかもよ。アナフィラキシーショックとか怖いし・・・・」

『時間がとれたら病院、行ってみます。』


なぜか不思議そうな表情でフォークではなく箸でつまんだメロンを口の中に入れ、それをゆっくりと噛み締めた福本さん。
その後、彼女は唇を伝ってこぼれそうになっていたメロンの果汁らしきものを指先で拭った。
彼女の濡れた指先を拭ったおしぼりにはうっすらと黄緑色の模様が広がった。

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