ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



その開業医は内科でアレルギー専門医。
40代半ばか後半ぐらいの穏やかな雰囲気が漂う女医さん。

丁寧に耳を傾けてくれるせいか安心して話ができ、
今日の状況も自分のわかる範囲で丁寧に伝えるように心がけた。


「苦味を感じたんですね、メロン。しかもしばらくして激しい腹痛も。」

『ええ。腐っているかと思ったぐらい。でも一緒のものを食べていた人は苦味を感じないって言っていたんです。お腹も痛くないとも言ってたし。』

「おそらく、アレルギー症状かと思われるけれど、血液検査して確認してみますか?」

『お願いします。』


先生は電子カルテの血液検査のオーダー画面を開き、メロンのほかに同じような違和感を感じた果物があれば、一緒に分析してもらえるからと果物の名前を読み上げてくれた。

そして私がメロン以外気になったことがないことを伝えると、メロンと系統が近い果物を選んで分析依頼出しておくねと言いながらマウスを忙しく動かした。


しばらくしてマウスを動かす右手を止めた彼女は、今度はキーボードを両手でカチャカチャと動かし始めた。


「それともうひとつ。問診用紙で最終生理日が約5週間前で、その際の月経量がかなり少なかったとの記載があったんだけど、そういうことはよくありますか?」

『これだけ出血の少ない生理は初めてだったんですけど。元々、生理不順なので、こんなもんかな~って。あんまり深く気にしたこと、なかったです。』


私の返答に先生はう~んと唸りながら首を傾げる。
そして彼女はデスクにひじをついて頭を抱えるようにしばらく考えこんだ。
その静まり返る空気に緊張感を覚え始めた頃、先生はようやく口を開いた。


「私、婦人科は専門ではないので、診断ではなく疑いの可能性を探るレベルなんだけど・・・妊娠の可能性とかは?」

腹痛で受診した私だったので、予測をしていなかったその言葉。



『でも、生理は来ていて。』

「今までになかったぐらいのごく少量の出血ですよね?」

『ハイ。』

「もしかしてだけど、それ、着床出血なんじゃないかしら?」



着床出血って
妊娠しているってこと?





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