ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
研修医前田=モルヒネ紛失事件の当事者
彼は事件を起こした当時、過労気味だったこともあり
病院側が彼だけの責任問題ではないと判断し、警察沙汰にはしなかったらしい
そのため、医師免許剥奪までには至らなかったが、その後、病院を辞めて休養していると聞いた
それを知った伶菜は
医師免許を保有したままでいられることに安心したようで
“とりあえずゆっくり休んでこれからのことを考えてほしいな” と言っていたっけ
彼と伶菜は同期入職している間柄だから
彼の苦しみを理解してあげたいという気持ちは
今でも抱いているんだと思う
正直、妬けるけど、
それが伶菜なんだと思うことにした
でも、
今、伶菜のまわりをウロウロしている研修医は
話が別だ
「何人かいるみたいよ~。研修医の間で“マジ、癒される~”って噂になってるって・・・ウチの研修医の和田クンも嬉しそうに言ってたし。」
『和田もか。少しは遠慮しろよ・・』
カワイイ嫁を持つと苦労が絶えないわよね~と
俺の右肩を勢いよくポンと叩き笑ったかと思えば福本さんはすぐさま鋭い視線を投げかけてきた。
この人の切り替えの早さについていける人は
多分、産科病棟主任看護師の山村さんと俺だけだと思う。
福本さんは相手によってその速度を変えているし。
つくづく頭のいい人だと思う。
だから
「でも、メロンはやめときなさいよ。」
『了解です。』
俺の予測通りさっさと看護師長の顔に戻った福本さんの忠告には
素直に耳を傾けた。
それなのに