ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



俺にメロンを食べさせる格好になってしまい
照れくさかったのか慌ててその手を引っ込めた彼女。

いつもこういう時なら白い頬がキレイなピンク色に染まるのに
この日は若干青白くて。
さっきまでの彼女は空元気だったんじゃないかと思えるぐらい
顔色が冴えないように見えた。


『体調、優れないんじゃ』

「それ、祐希に食べさせようと思ったんだけど・・・あまい~?よかった~ナオフミさんもやっぱりメロン好きなんだ~。メロンパン、大好物だもん。そーだよね♪」

『・・・・うん。甘い。美味い。』


俺の問いかけを遮るように彼女は逆に俺に問いかけた。

相変わらず顔色は冴えないものの、ふんわりと笑うその表情に
研修医たちの気持ちがわかるような気がした。
・・・・夫である俺も骨抜きにされてしまうのだから。

でも、やっぱり骨抜きにされるのは
俺だけでいい

人妻に対して遠慮がない研修医は
他の診療科であっても容赦しない

というか
俺が動く前に森村が動きそうな気もするけどな

いつもの調子で
“レイナはオレのモノだから、半径10Km以内に近寄るな” ぐらいな勢いで・・・


伶菜の苗字が日詠に変わっても
“森村先生の彼女、日詠先生の妹さんだったんですね~” って聞いてくる事務職員もいるぐらい・・・森村は堂々とレイナはオレのモノ宣言しているぐらいだし

でも、俺だって
伶菜に近づこうとしている研修医を目の前にしたら
森村のように・・・・


というか
半径10Kmとか口に出して言えない
近づく人間を容赦なく追い払うとか・・・したことないしな

伶菜に出会ってから
自分がこんなにも他人に興味がなかったことまでもを思い知らされている

すごく情けない
けれど
おそらく今の自分のほうが人間味があるんだろう


「パパ・・それボクの!!!!!ズルイ~。ママ、ボクも!!!!」

『あ・・・悪い。俺の食べるか?』

「うん♪ パパのも食べる♪」

ついさっきまでメロンの行方が気になって仕方がなかったのに
伶菜の回りのウロつく研修医の存在に気を揉んだり
相変わらずマイペースな森村を想像したりして
頭の中だけは忙しかった自分。


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