ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's eye ケース21:リョウカセイ・・背中合わせの感情
【Reina's eye ケース21:リョウカセイ・・背中合わせの感情 】
紹介された産婦人科に受診したのは
福本さんとランチをした日から3日程経った頃だった。
本当に妊娠したかが気になった私は
受診前に近所のドラックストアで購入した妊娠検査薬で自己検査していた。
結果は・・・陽性。
ナオフミさんとの子供を授かったかもしれないということはやっぱり嬉しかった。
物心ついた頃には母と二人家族であった私にとって
彼と祐希そして新たにもうひとり家族が増えるかもしれない嬉しさは人並み以上だと言えると思う。
でも、ちゃんと覚悟を決めたはずなのにいざ妊娠しているかもしれないことがわかると
お腹の子に生まれつきの病気がないかどうかがやっぱり気になった。
それだけでなく、彼に
妊娠や全然知らない産婦人科に通うことにしたことをどうやって伝えたらいいのか
正直戸惑いがあった。
たぶんそういう戸惑いは
自分が遺伝相談の仕事に就いていなかったら
彼が産科医師でなかったら
おそらく感じないもの
病気や障害が遺伝する確率だとか
なぜ彼に主治医をお願いしないのとか
普通の父親、母親だったら
そんな余計なことを考えずに素直に心からこの妊娠を喜べたに違いないよね
でも現実は
私は遺伝相談チームの一員の臨床心理士で
ナオフミさんは産科医師
こうだったらとかああだったらと考えている最中でも
「尿検査の結果、妊娠反応は陽性でした。おめでとう。」
『・・・・・・・・・・・』
時間は私を置いてきぼりにして刻々と過ぎていく
「とりあえず、エコー(超音波検査)させてくれる?」
紹介された近所の産婦人科クリニックの女医さんが尿検査の結果が記入された用紙を手渡してくれながら、内診室らしき場所を指さした。
自分が腰掛けていた丸椅子の後ろに置いてあった手荷物に手を伸ばし立ち上がったその時、
「椿本先生~。今、私が診ている妊婦さんですが、ハイリスクなので、名古屋医大に紹介します?」
背後から聞こえてきた声。
すぐさま振り返ってその姿を確認した。
私を診て下さっている椿本先生と向かいあっているその人を。
「やっぱり名古屋医大の三宅教授のとこを紹介したほうがいい?」
「そうですね、データも持ってますし。でも、スキルなら名医大じゃなくても南桜の日詠クンでも大丈夫。あっ・・・」
まさか
ここで会うなんて
思っていなかった。