ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



目を見開いた奥野先生。
彼に惹かれている彼女にそんなことを頼まないほうがよかったんだ・・そう後悔し始めた時、彼女は目を閉じゆっくりと息を吐いた。


その溜息の意味
私が妊娠したことに対してなのかな?
それとも、私の主治医をお願いしたことに対して?
どっちもってこともあり得るかもしれない

確かにずっと想いを寄せている人の妻の
しかも彼の子供を妊娠している妻の主治医を頼まれて
好意的に思えるはずないよね?

奥野先生には罪悪感を抱き続けるのではなく
いつものように凛として気高くいて欲しい
そう思った上で主治医をお願いした


でも、奥野先生の溜息で気がついた
私、結構、無神経で酷いことしてるんだ・・・・


『ゴメンなさい。やっぱりいいです。』


今更謝っても取り返しはつかない
そう思ったけれど謝らずにはいられない。

なぜか再び目を見開いた彼女はすぐさますごい速さで首を横に振った。


「違うの。そうじゃないの。つい安心しちゃって。私の無責任な行動のせいでふたりがギクシャクしたままだったらどうしよう・・って思っていたから。」

『・・・・・』

「伶菜ちゃん?」

『あっ・・』


穏やかな表情で笑ってみせてくれた彼女。
安心したと言ってくれた彼女の言葉に偽りはないと感じられた。

彼女に対して酷いことをお願いしてしまったと自分の行動にガッカリしていた私。
彼女が私の妊娠を好意的にとらえてくれていると感じ、今度は自分が安堵の息を吐いた。



「ゴメン。失礼なこと聞いちゃうけど・・・もしかして、日詠クンの子じゃないとか?」

『えっ?!』

「そうなの?!」

『違います。』

「違うって・・・日詠クンの子じゃないの?」

『そうじゃなくて・・・彼との子供です。』


そうだよね~ゴメン、あたし、何言ってんだか・・と笑った奥野先生。
つられて私もつい笑ってしまった。


「よかった。笑った顔をまた見ることができて。でも・・・」


彼女は不思議そうな顔で私の様子を伺う。
しばらくお互い見つめあってしまったせいか落ち着かなくて瞬きを何回もした。

それでも奥野先生は何を言わない。


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