ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



躊躇いがちに妊娠したことを伝え、俺がどう想ったのか訊ねた伶菜。


無意識で体を震わせるぐらいsexに対する不安が大きかったと思われた彼女
その根底にあったものは、おそらく妊娠したらどうなるかという不安

彼女は先天性心疾患(生まれつきの心臓病)を持っていた祐希を産んだ
だから、もしかして次の子供も・・・という不安感を抱いてもなんらおかしくはない


彼女自身もそれを理解し、TTTS(双胎間輸血症候群)患者のカウンセリングを通じてそれを克服しようと努力もしていたに違いない

その上で覚悟してると言い切って俺に抱かれた
その覚悟は子供を授かることも含まれていたはずだ


それでもいざ妊娠した今
そういうこともあり得るという現実味を帯びてきているのだろう

一度、彼女の手で眠らせたはずの不安が再び目を覚ましたようなものだ


そんな不安は彼女ひとりで背負えるものではない
ふたりで共有すべきなんだ

俺達ふたりなら支えあえる
そう信じている

だから
できるものなら今すぐにでも・・・彼女が躊躇う理由が俺の予測している不安と一致しているのかを知りたい

本当ならば伶菜自身から想いを打ち明けてくれるのを待つべきだと思う
無理矢理聞き出しても、本人の想いを上手く引き出してやれないだろうしな


けれども、伶菜は俺から聞いてやらないとそういう不安は自分で抱え込む
そういう不器用さはなかなか変えられないものだ


だから


『嬉しい・・・か?』

「・・・・うん。」

『どれくらい?』


俺は珍しく彼女の気持ちに踏み込んだ。

暫くの間考え込んでしまう伶菜。


「・・・う~ん。どう表現すればいいんだろう?」

黙ったままでいてはいけないとでも思ったのだろうか?
彼女は考える人の像のような姿勢でそう呟いた。

彼女のその言動によって俺は彼女が
妊娠したことを単純に喜んでいるようには見えない。

彼女の中で妊娠したという現実が
嬉しいという感情よりも戸惑いの要素が強いように思われた。


このまま見過ごす訳にはいかない
そう判断した俺。

以前、伶菜とすれ違っていた俺を心配してくれていたらしい彼女の上司の早川室長が教えてくれたことを実践してみた。



『俺に嬉しいかって聞いたお前は、戸惑っているように見えたけど?』

「・・・・・・」

『心配なことがあるなら、ちゃんと聞かせてくれ。一緒に育てていくんだから。』



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