ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's eye ケース22:恋のサンカク同盟
【Reina's eye ケース22:恋のサンカク同盟】
椿本先生の産婦人科クリニックで偶然、奥野先生に再会してから1週間が経っていた。
悪阻らしき症状も徐々出てきていて、食欲もあまりなかった。
自分が従事している病院関係者には自分から妊娠したことを伝えていなかったため、周囲の人に食欲がない現状を気付かれないよう、昼食は屋上で食べることにした。
『ロールパンも好きだけどあんまり食べたくないな~。オレンジじゃなくて・・・グレープフルーツにすればよかったかも・・』
お弁当箱の蓋を開けたけれど、この日もやっぱり食べたいという気が起きなくて。
それでも食べないと体が持たないから・・・という想いと衝突し続けて、気がつけば時間だけが経っていた。
『やっぱり、残そう・・・』
そう決めた時、珍しく昼食時間帯に休憩を取ることができたらしいナオフミさんがこちらに近付いてきた。
目が合ったけれど、一瞬、視線を外された。
おそらく、彼の視線の先は自分のお弁当箱。
食べていない上に栄養バランスに欠ける中身を彼に見られたくなかった。
絶対に心配するから。
でも今更、蓋をするのも余計に怪しまれる・・・・そう思った私は自分から彼に声をかけることでお弁当のほうに彼の意識が向かないようにした。
けれども
きっと、お弁当が彼のものと異なっていたことを彼は気が付いていた。
いつもお揃いのお弁当なのに中身が違うのはなぜ?とは聞いてこなかったけれど、顔色の悪さを気にしてくれたから。
心配性の彼のこと。
このまま、何ともないと言い通せるはずはない。
妊娠していることをいつ言おうか
ずっとそう思っていたけれど、
主治医を産科医師である彼ではなく奥野先生にお願いしたことを彼がどう思うかという ”後ろめたさ” が気になって
彼に伝えられないまま1週間が過ぎていた。
でも、このままではいいと思えなくて
『だから・・・妊娠したの。』
彼の耳元でそっと囁いた。
顔を見合って告げたなら、きっと彼に対する ”後ろめたさ” まで伝わってしまうと思ったから。
彼が何を思っているのか・・・・正直気がかりだった。
普段は感情をなかなか表に出さない人だし。
それに彼に対する ”後ろめたさ” もあったし。
でもそんな心配は
突然の彼の両腕のぬくもりと
彼のはっきりとした返事のおかげで掻き消された。
妊娠したことを喜んでくれている
ちゃんとそう感じられた。
だから気持ちが解れた。
その影響なのか・・・・彼に対する ”後ろめたさ” は “どうしたらいいんだろう” という言葉でこぼれた。
その言葉の本当の正体を明かしちゃおうかな
そんなことも考えてしまうぐらい彼の存在をより近く感じられた。