ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


「伶菜さん、お腹の張り具合はどうですか?」

『なんとか大丈夫そうです。』

「せっかくの両親学級を切迫早産症状で休まないように無理しないで・・・って奥野先生から伝言を預かりました。」

『・・・アハハ。』

「それと、今朝、日詠先生からも、その日、勤務代わってとの依頼電話もありました。」

『えっ?そんなご迷惑じゃ・・・』


仕事中に体調の異変を感じたら、同じ院内にいる美咲先生にまずは伝えて・・・と奥野先生から指示されていた私。
美咲先生も時々、私の体調を窺いにカウンセリングルームまでこっそり足を運んで下さってい
た。

「私も日詠先生の担当患者さんの代診をさせて頂けるようになったこと、嬉しく思っているので、気になさらないで下さい。」


柔らかく笑ってくれた美咲先生。
彼女に出逢った頃と比べると雰囲気が柔らかくなった彼女。
ナオフミさんのことがスキだと言うこの人の存在にも脅威を感じていた時期もあったけれど、今では奥野先生と同様に頼れるお医者さんでいてくれている。



「あと・・日詠先生の電話の声は、普段あまり聞いたことのないような嬉しそうな声でした。研修医の和田クンにも私を手伝うように電話すると張り切っていましたし。」


私が気になっている彼の様子まで教えてくれたり。
美咲先生の心遣いで昨晩のモヤモヤした気持ちがふわりと楽になった。


『ありがとうございます。お言葉に甘えて・・・両親学級の日、日詠先生をおかりしますね。』

「借りるなんてそんな・・・こちらのほうが日詠先生に頼ってしまうことが多くってすみません。」


お互いに深く会釈した。
顔を上げたタイミングも同じでふたりでアハハと笑った。
美咲先生とも打ち解けられそう
そんな気がした。


医学生の頃からナオフミさんと一緒に切磋琢磨してきたであろう奥野先生
産科医師としてナオフミさんの背中を追い続けてきたであろう美咲先生
彼に対して好意も抱いているであろう彼女達にも守られているこの状況

不思議な状況だけど
私のことを甘えさせてくれる彼女達の存在を
心からありがたいと思った。



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