ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


『ああ』

「申し送り忘れですか?」

『そんなとこ。来週土曜日、俺と勤務代われる?』


自分から勤務予定の変更を願い出るのは久しぶり。
美咲は “予定ないですから、しっかり勉強してきて下さい” と快諾してくれた。

どうやら彼女も伶菜の様子を診ていてくれていたようだった。
おそらく奥野さんの配慮によるものだろう。

自分で言うのもなんだが

俺と奥野さん
そして
俺と美咲との関係は
産婦人科医師の先輩後輩関係だけじゃなく
恋愛関係にあるのでは?と伶菜に誤解させてしまうようなこともあった

それでも
奥野さんと美咲には
俺の心の中には伶菜しか見えていないことが伝わっているらしい

この前の奥野さんのキスも
やり方は非常識かもしれないけれど
伶菜を抱きしめたいという俺の想いを加速させるよう背中を押してくれたものだった

美咲においても
研修医前田の事件から伶菜を立ち直らせようと手を貸してくれた


彼女達が動くのは
俺のためではない
“伶菜のため” なんだ

俺だけではなく
彼女達の心まで動かす伶菜

俺にまで気を遣ってしまうぐらい不器用だけど、そこが愛しい
そういう彼女がいろいろな人の心を動かしているのだろう


『美咲。いつも、ありがとうな。きっと伶菜も心強く想っている。』

「いえ。伶菜さんのことはお任せ下さい。」

こうやって俺達は前に進むんだ
いろいろな人に背中を押してもらいながら・・・・

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